読売新聞 平成22年6月25日
探査機「はやぶさ」の帰還により、世界的に注目をあびているという
イオンエンジンについて易しく説明されている。
普通のロケットエンジンは燃料を燃やしてできるガスを勢いよく出すのに
対し、イオンエンジンは電気を帯びた「イオン」を噴き出して進む。
普通のエンジンには、酸素と燃料が必要となるが、イオンエンジンには、
それらは必要なく積んでゆくのは「キセノン」という物質。
このキセノンに電子レンジで使われるマイクロ波を当てると、イオンが出る。
さらに、電圧をかけて猛スピードで飛び出させる。
太陽電池も積んでいるので電気がなくなる心配もない。
でも、力は弱い。地球で1円玉を持ちあげる程度の力しかない。
宇宙には空気抵抗も重力もないから弱い力でも大丈夫。
こうして、「はやぶさ」は 60億km (太陽と地球の距離の40倍) を旅した。
様々なトラブルを乗り越えて、7年もかけ奇跡的に帰還した。
さて、ここでのイオンを出させるマイクロ波であるが、この研究はいわば日本の
お家芸である。
太平洋戦争中のことであるが、後にノーベル賞(物理学)を受賞した湯川秀樹、
朝永振一郎の両氏は、島田市内で世界に先駆けてマイクロ波などの研究を
していたのだ。