「万葉集の恋うた」 清川 妙 著 中経文庫
秋の夜長、 このような本を読むのもいい。
あしひきの山のしずくに妹待つと
われ立ち濡れぬ山のしづくに (大津皇子おほつのみこ)
彼女から、すぐ歌が返ってきた
吾を待つと君が濡れけむあしひきの
山のしづくにならましものを (石川郎女いしかわのいらつめ)
きみのくるのを待って、夜ふけの山の木かげに私は立っていた。
でも、きみがなかなか来てくれないものだから、ほら、見てごらん。
こんなにびっしょり、木から落ちるしずくに濡れてしまったじゃないか。
私を待つといって、あなたが濡れた、山のしずく。そのしずくがうらやましいわ。
だって、恋しいあなたのからだに触れたんですもの。
私もしずくになりたかったのに・・・。
相思相愛ならこれでよいが、
一歩間違えると、 待ち伏せ、ストーカーなんてことに、
なってしまっては、 大変なことですね。