静岡新聞 平成22年5月21日 夕刊
金星探査機「あかつき」の打ち上げが成功した。
宇宙ヨット実証機 「イカロス」 も一緒だ。
この推進力は、光なのだ。
1辺が14mの四角い薄膜の帆を広げ、太陽の光の粒子を風の
ように受けて進む。
航行に成功すれば世界初の快挙となる。
漱石の「三四郎」の中に、光の圧力の実験の場面が出てくる。
三四郎は大いに驚いた。驚くとともに光線にどんな圧力が
あって、その圧力がどんな役に立つんだか、まったく要領
を得るに苦しんだ。
光圧が役に立つときがきたのだ。
夏目漱石、寺田寅彦が生きていたら、どんなに喜んだろう。
(車もテレビもない明治に、両人はすでに光圧の話をしていた。)
「イカロス」よ、ぜひ成功して、世界を驚かせてくれ。