
読売新聞 朝刊 平成21年3月26日
3月25日、食道ガンのため、遠藤幸雄さん(72歳)が逝かれた。
知る人ぞ知る 素晴らしい方なのだ。
体操の遠藤。
オリンピック東京大会の前ローマ大会より活躍。
ローマ大会では、日本の団体総合優勝に、
東京大会では、団体総合優勝に加え、日本初の
個人総合の金メダルを獲得し、大活躍した。
「体操ニッポン」の草分け的存在であった。
五輪と世界大会で、金8、銀7、銅2の計17個のメダルを獲得。
「頭からつま先まで伸びること。体操は美しくないといけない。」と常々
話し、美しい「体操ニッポン」を築かれた。
母を小学校3年生のときに亡くし、父の仕事もかんばしくなく、
親戚に育てられ、中学生のときには、福祉施設に預けられる。
中学から体操を始める。
秋田工高、東京教育大(現筑波大)、卒業後日大助手のとき
ローマ大会の代表選手になる。
逆境に育った遠藤幸雄さんであったが、明るく気さくであり
皆に慕われた。
早田卓次氏
「繊細な方でね。練習後は毎日欠かさず、トレーニングパンツ
の汚れをブラシで落とし、ピシッとたたまなければ気が
済まない。性格通りの演技で、切れ味の鋭さは抜群だった。」
塚原光男氏
「まだ教えていただくことがあった。大変、残念です。」
遠藤さんは、郷里に帰ったときは、必ず育った施設に寄ったという。
体操の演技と同じように、美しい生き方でした。
ご冥福をお祈り申し上げます。
東京五輪の本当に美しい演技は、脳裏に焼き付いております。
ありがとうございました。