
「三四郎」 夏目漱石著 角川文庫
夏目漱石の小説、「三四郎」。
主人公の三四郎が熊本の学校を卒業して、大学進学のため、はじめて上京する
ときの汽車の中からはじまる。京都-名古屋間からはじまっている。
名古屋止まりの汽車である。 京都から乗り合わせた女と、ひょんなことから
名古屋で同じ部屋に泊まってしまう。
翌日、女は名古屋から四日市に向かう。 三四郎は、無論東京へ向かう。
名古屋での別れ際、三四郎は女から
「あなたはよっぽど度胸のないかたですね」と言われ、にやりと笑われてしまう。
小説「三四郎」は、一から十三まである。
最初の一に、実は、「浜松駅」が出てくる。
「
浜松で二人とも申し合わせたように弁当を食った。食ってしまっても汽車は
容易に出ない。窓から見ると、西洋人が四、五人列車の前を行ったり来たり
している。そのうちの一組は夫婦とみえて、暑いのに手を組み合わせて
いる。・・・略・・・ 三四郎は生まれてから今日に至るまで西洋人というもの
を五、六人しか見たことがない。」
時は明治、人前で夫婦が手を組むなど、西洋人だからこそであろう。
以前(若い時)読んだ時は、こうは思いもせず、ただ読み過ごしていただろう。
1869年(明治2) 自国管轄方式による新橋・横浜間の鉄道建設を決める。
1877年(明治10) 西郷隆盛逝去。
1883年(明治16) 篤姫逝去。
1889年(明治22) 東海道線 全線開通。
1894年(明治27) 日清戦争。
1904年(明治37) 日露戦争。
1908年(明治41) 「三四郎」発表 漱石(42歳)。
少し、大袈裟にいえば、
「三四郎」若い時、読んだのとは、 まるで違う小説のようだ。
感じるところが、異なっている。
浜松には、明治のときにも外人が多かったのであろうか。
そんな訳はないだろう ???。