洗面の流しに 冬の蠅 がいた。
あちこちがきらきらしていた。
蠅独特の動作、手足をこすることもなく、さすがに、動きが鈍く、たまにしか動かない。
写真に撮れた。
ほっといて、しばらくしたら、いなくなっていた。
「冬の蠅」と言えば、「檸檬」とともに 梶井基次郎(1901-1932)を思い出す。
冒頭の文章
冬の蠅とは何か?
よぼよぼと歩いている蠅。指を近づけても逃げない蠅。そして飛べない
のかと思っているとやはり飛ぶ蠅。
昭和2年 元旦 梶井基次郎は 伊豆湯ヶ島湯本館に滞在中の
川端康成(昭和43年ノーベル文学賞受賞)を訪ねる。
その日の内に、梶井は川端より紹介された 伊豆湯ヶ島湯川屋
に滞在し始める。
ふたりは、お互いの旅館を親しく行き来する。
梶井は、囲碁をしたり、川端の執筆中の「伊豆の踊り子」の校正を手伝ったりした。
この年の3月「伊豆の踊り子」は発刊される。
伊豆湯ヶ島には、川端康成の書いた、梶井基次郎の文学碑がある。
