ことば力 遣らずの雨

ことば力 遣らずの雨
   「俳句脳」  茂木健一郎 脳科学者 、黛まどか 俳人  共著
     角川書店発行  角川oneテーマ21

9月も終わろうとしてますが、9月は、一年を通して、一番雨量の多い月です。

俳句で使われる 雨 に関することばを、一部あげてみます。

秋雨(あきさめ)、秋時雨(あきしぐれ)、秋の長雨、朝雨(あさあめ)、雨脚(あまあし)、
雨遊び(あまあそび)、雨音(あまおと)、雨景色(あまげしき)、雨垂(あまだれ)、雨粒(あまつぶ)、
雨催(あまもよい)、雨宿り(あまやどり)、雨喜び(あまよろこび)、雨雫(あめしずく)、
雨装い(あめよそい)、雨侘し(あめわびし)、卯の花腐し(うのはなくたし)、大雨(おおあめ)、
お降り(おさがり)、お湿り(おしめり)、返り梅雨(かえりつゆ)、空梅雨(からつゆ)、
寒雨(かんう)、甘雨(かんう)、樹雨(きさめ)、霧雨(きりさめ)、小雨(こさめ)、小糠雨(こぬかあめ)、
細雨(さいう)、五月雨(さみだれ)、小夜時雨(さよしぐれ)、地雨(じあめ)、慈雨(じう)、時雨(しぐれ)、
驟雨(しゅうう)、秋霖(しゅうりん)、宿雨(しゅくう)、青雨(せいう)、漫ろ雨(そぞろあめ)、梅雨(つゆ)、
梅雨晴(つゆばれ)、鉄砲雨(てっぽうあめ)、天気雨(てんきあめ)、通り雨(とおりあめ)、
長雨(ながあめ)、菜種梅雨(なたねづゆ)、俄雨(にわかあめ)、白雨(はくう)、春雨(はるさめ)、
飛雨(ひう)、氷雨(ひさめ)、日向雨(ひなたあめ)、暮雨(ぼう)、暴風雨(ぼうふうう)、村雨(むらさめ)、
戻り梅雨(もどりつゆ)、夜雨(やう)、遣らずの雨(やらずのあめ)、夕雨(ゆうさめ)、
夕時雨(ゆうしぐれ)、夕立(ゆうだち)、横雨(よこあめ)、雷雨(らいう)、緑雨(りょくう)、
霖々(りんりん)、冷雨(れいう)、連雨(れんう)、私雨(わたくしあめ)



写真の本に、こんなことが書かれてました。
要約すると、

  反日教育を受けて育ったある韓国人(男性)の話です。
  日本が嫌いだった彼は、今から30年ほど前、出張でどうしても日本に行かなければ
  ならなくなり、10日程滞在した。
  仕事を済ませ、韓国へ帰れるという日に、空港へ向かう車中で突然雨が降り出した。
  同行していた日本の担当者が雨を見て
  「遣らずの雨ですね・・・。日本人はこういう時に降る雨を遣らずの雨と呼んで、
  あなたを帰したくなくて、雨が降り出したと思うのですよ

  と説明した。

  このとき彼は、こんなに詩情あふれる繊細な言葉を育んできた民族が、自分が教わった
  ような、ただ残酷で悪い民族であるはずがないと思った。
  彼の反日感情は、その一言で俄かに溶けてしまった。
  以来、彼は日本人の悪口をいう韓国人に会うと、必ず遣らずの雨の話をするのだそうです。


とある。

日本のことばの力、繊細さは  すごい。


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この記事へのコメント
とても、素敵なお話ですね。その韓国の方の洞察力、そして何といっても、日本の言葉の奥深さ、豊かさ、昔の日本人の言葉に込めた思いに、感心してしまいました。

今は、心のない、上滑りした言葉が氾濫していますが、昔は、その言葉の中に溢れんばかりの意味が、心が込められていたんですね。ヒロさんが、俳句を好まれるのも、そのあたりのあるのでしょうか。感受性豊かで、ありふれた日常のひとこま、ひとこまに感動する心をもててこそ、なんでしょうか。

以前、これも教えて頂いた歌ですが…。
「七重八重 花は咲けどもやまぶきの み(実)のひとつだに なきぞ悲しき」だったと思います。
あの太田道灌が、鷹狩りにでかけて俄雨にあってしまい、みすぼらしい家にかけこみ、「急な雨にあってしまった。蓑を貸してもらえぬか。」と声をかけると、思いもよらず年端もいかぬ少女が出てきたのですが、その少女が黙ってさしだしたのは、蓑ではなく山吹の花一輪で、花の意味がわからぬ道灌は「花が欲しいのではない。」と怒り、雨の中を帰って行ったという話。その後、近臣の一人が、 上の歌を用いて、その娘は蓑(みの)ひとつなき貧しさを山吹に例えたのではないでしょうかと話し、道灌が不明を恥じ、歌道に精進したと言うお話を教えて頂いたのを、思い出してしまいました。私は、歌など詠んだこともないし、詠めませんが、俳句や短歌の世界と言うのは、ほんと素晴らしい世界、そして日本語というのは、そういう心の世界なのかなって、ヒロさんの今日の記事を拝見し、そう思ってしまいました。ありがとうございました。
Posted by げんちゃんげんちゃん at 2008年09月30日 23:54
いいお話ですね。
げんちゃんのコメントも素敵です。

俳句も歌も深みまで読み取れる自分になりたいと思いました。
Posted by TETSUTETSU at 2008年10月01日 08:18
げんちゃんへ
コメントいつもありがとうございます。
太田道灌の話、いい話ですね。勉強になります。
日本人の心、日本語の素晴らしさが世界に広がるといいですね。

そういえば、今日から、国土交通省の外局として「観光庁」がスタート
ですね。一役かってくれるといいのですが。
Posted by ヒロさん at 2008年10月01日 16:51
TETSUさんへ
いつもありがとうございます。
げんちゃんは、ほんとに、勉強家なんですよね。

私の句など、これで、食っている訳でなし、まっ、いっか
てな具合で、妥協して作ってます。
俳句をへたなりに、恥をかきながらやっているのは、
発見する力がついたり、物事を見るに、違った角度からや
深くみることができるように  なってきたためです。
このことが嬉しく嬉しくててやっているしだいであります。
Posted by ヒロさん at 2008年10月01日 17:08
ヒロさん

先程、新幹線車中でこの記事を読んで、
うるっときました。

もの凄い力のある内容で感動すら覚えております。

日本語もさることながら着眼点が素晴らしいです。
私も少し俳句をしてみようかなと興味が出て来ました。

しかし、日本語には言い言葉が沢山あるんですね。
改めて発見しました。

ありがとうございました。
Posted by シイズな二人シイズな二人 at 2008年10月02日 17:42
シイズな二人さんへ
素敵なコメントありがとうございます。
感動していただいて、うれしゅうございます。
それもこれも、微妙な違い(見えない部分も含めて)
をも、表現することができることばをもつ日本語の
せいでありますね。
ありがたいことです。
Posted by ヒロさん at 2008年10月02日 20:28
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