読売新聞 平成22年4月24日
「事業仕分け」第2弾がはじまった。
議会で毎年予算審議するのに、今まではやってこなかったのか、
適切な事業か、今おこなうべきか、内容はよいか、費用は妥当か、
むだはないか など
町議会、市議会、県議会、国会で 議員たちは やってこなかったのか
結果的に、予算は組んだが、借金が残った。
最後は、庶民にツケが回る。
いつの時代でも繰り返されること。
さて、記事には、科学技術振興に関し 数学のノーベル賞といわれる
フィールズ賞受賞の 京大 森重文教授 のことばが載っている。
「科学で国を興すには、太い幹を育てる長期的な視点が求められる。
・・・・・
1・2か月の事前調査で、運営費交付金も競争的資金も事務費も一律
に削るのではなく、全体を見据え、冷静で客観的な議論が必要なのです。」
科学技術の研究では、すぐには結果が出にくい。
結果が出ないときのほうが多いといってもいいだろう。
100や1000の内、1つ結果が出ればいいとこだろう。
また、そこまでいってもいかなくても失敗の連続であり、失敗から結果が出てくるものである。
(失敗したくないのであれば、もはやそれは研究でなく、やった人のあとをついてゆくしかない。)
そういう点において、科学技術の予算組み時の「費用対効果」の議論はなじみにくい。
日本初のノーベル賞受賞の 湯川秀樹 の 「現代科学と人間」 岩波書店 の中に
「 『むだ』ということ 」 という文章がある。 少し長くなるが引用してみよう。
研究ということは、その本質的性格に伴って、ある程度の「むだ」をさけることが
できない。 ・・・・・
科学の先進国というのは、どれも研究の段階で相当の「むだ」を惜しまなかった
国である。ところが
研究段階での「むだ」を惜しんでいた国は、結局の所でもっと
もっと大きな「むだ」をしなければならなくなっているのである。研究段階での
「むだ」を全部、よその国にしょいこんでもらっていると、いつまでたっても後進国
にとどまることになる。そればかりではない。研究の段階である程度の「むだ」は
あっても、できうる限り色々な可能性を追求しておくことか゜、前途の大きな危険
を避け、正しい道を選ぶのに、非常に役立つのである。「むだ」という言葉がいや
なら「縁の下の力持」という言葉を使ってもよい。 ・・・・・
一国の発展の方策をきめる大切な目安がここにある ・・・・・ 。
(昭和32年1月)
いまから 53年も前の ことばである。