「図解橋の科学」 土木学会関西支部編
田中輝彦 渡邊英一 他著 講談社発行
橋には、何か魅力があると思うのは私だけだろうか。
自然の中に、人工的な橋が架かる 、 美しい と思うところが多々ある。
ゴッホ、モネの絵や浮世絵にも橋は、重要な役割を果たしている。
江戸の日本橋、大阪の八百八橋、倉敷の錦帯橋、高知のはりまや橋、
長崎の眼鏡橋など有名どころを上げるまでもなく、
名もない橋でも、人々の生活と深く関わっている。
出会いや別れの橋、通勤通学での橋、近くて遠い隣町への橋。
日の出と橋、夕日の橋。
それぞれに、それぞれの思い出があるに違いない。
自宅前には昔、小川があり、それはそれは小さい小さい橋が架かっていた。
そのたもとで、お母さん方は洗濯をした。
私は、カエル、ザルガニ、タガメ、フナなど捕まえたりして遊んだ(昭和30年代)。
また、天竜川橋の建設中の工事をよく見に行った(昭和40年代)。
東名高速道路の橋と知ったのは、少しあとのことであった。
本には、「八橋(やつはし)」や「掛橋」についても書かれていた。
葛飾北斎の浮世絵ですが、旅人たちが渡っている橋が一直線でなく、
右へ左へと千鳥のように折れ曲がっているのが不思議です。
これを「八橋」といいます。
・・・略・・・
じつはこの八橋が、日本の橋の原型ともいえるのです。
・・・略・・・
決して自然に逆らわないこのような橋の架け方を「掛橋(懸橋・梯)」と
いいます。「カケハシ」は「カケル」と「ハシ」の合成語で、「カケル」には
掛け渡すとか、仮につくった橋という意味があります。つまり永久橋に
対する仮橋であり、そこに日本人の橋への根本的な考え方が表れて
います。八橋はその典型といえるのです。
竜馬は、薩長の掛橋となったが、
彼氏、彼女との間に、家族の間に、仲間に、地域に、職場に、仕事に、・・・ 。
私たちは どこにどんな 掛橋 を架けましょうか。