漱石の財産

漱石の財産
   「漱石、ジャムを舐める」 河内一郎著  創元社発行

この本は、好きな本である。
漱石をちょっと違った角度から捉えている。
題名からして、漱石は甘いものが大好きであることがわかる。

そういうこと以外に、この本には、いろんな情報が書かれている。
資料集めにさぞご苦労があったと推察される。

本には漱石の懐具合として(要約して記す)、
  夫婦に子供六人の八人家族のところへお手伝いさんが三人の大所帯で、掛かりが
  かさむ上に貧乏な弟子たちがひっきりなしに来ては、金を借りたり、泊まって飲み食い
  をしていくので、支払いも並大抵ではなかった。
  漱石が付けた大正3年12月から翌4年3月までの家計簿から支出を推測すると
    大正3年12月  762円
    大正4年 1月  451円
    大正4年 2月  376円
    大正4年 3月  697円
  正月準備の12月は別として、3ケ月の支出平均は508円となる。一方、
  この頃の漱石の推定平均月収は、およそ500円であるので、収入の
  ほとんどを使いきっている。
  結局、存命中は借家住まいで裕福感はなかったようだ。
とある。(ちなみに、漱石は大正5年12月9日に亡くなった。)

庶民からみれば、高収入であったに違いないが、ほとんど使ってしまっていた様子である。
その代わり、人に金をかけ、人を育て、人という財産を残した。
  寺田寅彦をはじめ、松根東洋城、小宮豊隆、鈴木三重吉、森田草平、野上豊一郎、
  野上彌生子、安部能成、和辻哲郎、芥川龍之介、久米正雄、松岡譲、岩波茂雄など
  
  そして、寅彦の弟子(漱石からは孫弟子)
  中谷宇吉郎、平田森三、坪井忠二、藤岡由夫、宇田道隆など

  そして、坪井忠二の弟子として
  地球物理学の 竹内均 (ラ講や「ニュートン」編集長として有名)

まぁ、こんな具合で、ひとりひとりあたっていったらきりがない。
とてつもない数の人という財産を漱石は残した言える。
さらに、日本中に財産が財産を生んでいる状態である。
漱石は、文学作品の他に、このような財産をも残してくれた。
と私は思っている。



子育て、孫育て、自分の目の黒いうちは、続けたいと思う。


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