澄み切って

ヒロさん

2010年01月03日 00:11



   
   「 NHK短歌 1月号 」  2010 No.154  日本放送出版協会発行


すっかり、 澄み切った 、 冬のよく晴れた日のように 。
違和感すら気づかなかったほどだが、 その違和感を確認し、
違和感は、取り除かれた。

斎藤茂吉の一首、

   のど赤き玄鳥ふたつ屋梁にゐて
     足乳ねの母は死にたまふなり


高校生ぐらいのときの教科書にあった歌だ。
何かすっきりしないままであったが、そのままで忘れてしまっていた。

が、 この 1月号に 明快な答えが載っている。
  歌のあるエッセイ   村木道彦
   「眼差しの深さということ」

「なぜ『ふたつ』」 と、茂吉はいったのか。
「玄鳥」の震えて止まぬ赤い喉に、「いのち」を見た 。
「いのち」の数え方は、「ひとつ・ふたつ」のほかにあるはずもなかった。
死の床に横たわる「母」。この時茂吉の眼差しは深い。

 (そうだ、 この「ふたつ」がわからず、違和感となっていたのだ。
   関心のある方は、ぜひ原文を見ていただきたい。素晴らしい。)


村木道彦氏のこの文章を読んで、この一首が晴れて、大きくなって、
はっきりと 私の心に響くもの となった。

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