漱石 すごい

ヒロさん

2008年10月17日 00:11


   漱石全集 第4巻 岩波書店 昭和50年3月10日 第2刷発行

「三四郎」 夏目漱石著 のなかに、

   散会の時刻が来て、若い男がみな暗い夜の中に散った時に、
   三四郎が与次郎に聞いた。
    「ダーターファブラとはなんの事だ」
    「ギリシア語だ」
   
   与次郎はそれよりほかに答えなかった。三四郎もそれよりほかに聞かなかった。
   二人は美しい空をいただいて家に帰った。

というのがある。

ここで、与次郎は、断定して「ギリシア語だ」といい切っているが、
実はラテン系の言葉であるらしい。
では、漱石が間違った、それとも、適当に書いた・・・???。

決してそうではなく、
漱石は、英文学者。
英語のイディオム「That is all Greek to me.」(それは、私にとってギリシア語。
は、チンプンカンプンの意。)を知ってのことである。
つまり、与次郎をして、「俺にもさっぱり解らない」と言わしめたのである。

小説を書きながら、ひとり遊んでいるような漱石が浮かぶ。
漱石 すごい。


漱石研究が進まなければ、ただただ気がつかずに終わってしまうところだ。

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